実は弟、行方不明なんです・・・

先日、ある知人のお葬式のあとの出来事です。

葬儀場から自宅へ移動して、やれやれと
喪服も着替えて椅子に腰掛け、お茶を飲んで一休み。

そんな中で、喪主さんが
「これから色々荷物を片付けないといけないね、
少しずつやっていくしかないね」

「そうだね、無理せず、ゆっくりとやってね」
と親戚の方とお話ししていました。

「そういえば●●くん、葬儀きてないけど連絡つかないの?」

「●●は、もう兄弟でもなんでもないから、
勝手に結婚して勝手に出て行って、行方知れずなんだから」

私「えっっっ、ちょっと待って!それ大変だよ、
●●くんがいないと遺産分割できないよ!」

喪主「もう戸籍は除籍になってるから、関係ないんじゃないの?」

私「結婚すれば、新しい戸籍ができるからここは除籍になるよ。
でも兄弟だから、相続人になるんだよ」

喪主「ということは、相続の書類に●●の印鑑がいるってこと?」

私「そうだよ!」

喪主「マジか・・・」

戸籍から除籍されていたから関係ないと思っていた・・・

細かな情報はここでは書けませんが、
二人兄弟の一人が行方不明なんです。

亡くなった方は、喪主の叔父さんで、おひとり様。
二人兄弟で姉がいましたが、すでに亡くなっています。
喪主はその姉の子供です。

叔父さんも急に亡くなってしまったので、
これからのことを考えると大変です。

すべてが突然のことで、何も準備していないし、
そうんなこと聞いたらどうしたらいいのかわからない・・・
ということで、これからどうするかを少しお話ししました。

なので、ひとやすみどころではなくなってしまいました。

行方不明者が相続人、どうしたらいいの?

相続人のなかに行方不明者がいると
遺産分割協議ができません。
そのままで対処しないと相続税の申告の10ヶ月が
すぐに迫ってきます。

こういった行方不明者がいる場合の対処方法を
3ステップでお話ししていきます。

①住所を追跡する

相続が発生していれば、相続人は相続手続きに必要ということで、
他の相続人の戸籍や住民票をとることができるんです。

そうすると行方不明者の戸籍謄本を取ることができれば、
本籍地かわかります。
そこで戸籍の附票が取れます、そこには現住所が載っています。

ここまでできれば、その住所にお手紙を書いて出すことができます。
今回の相続発生の経緯とか、お願いしたいこととか、
とりあえず連絡が欲しいとかの内容を書いて、反応を待ってみることです。

今回のケースは、
現住所がわかったので、そこにお手紙を書いて出しました。
今はその返信、連絡待ちの状態です。

返事が来ればなんとか遺産分割協議ができそうです。
もし、相続分についてあれこれ言ってきて、
話し合いがまとまらない時には、
調停や裁判で決着をつけることになるかも知れません。

もし、出した手紙が戻ってきてしまったら・・・
現地に行って、確かめてみる。
本当に住んでいないのか?近所の人にも聞いてみる。

そこまでやってわからなければ、次のステップへ。

②『不在者財産管理人』を選任してもらう

不在者の財産を管理する人で、
弁護士や司法書士の人がなることが多いです。

行方不明であっても、
相続人であることには違いないので
その人に相続分を管理してもらうように
裁判所につけてもらうことになります。

相続税申告も無くなってから、
10ヶ月以内に申告しなければいけないので、
その人を交えて遺産分割協議を進めていきます。

最終手段として、

③失踪宣告

不在者を行方不明ではなくて、
「死亡した」とみなす制度ですので、
行方不明だからといって、いきなり
失踪宣告にすることは簡単にはできませんが、

7年以上生死不明になっている相続人がいた場合
失踪宣告の申し立てを家庭裁判所にすることができます。
家庭裁判所による失踪宣告を受けると死亡したものとして扱われます。

そうすると、不在者財産管理人が管理していた財産を
相続人に移行していくことになります。

このような方法、手段で進めていきますが、
相続が始まってしまったら、
すぐにでも専門家に相談をすることをお勧めします。

行方不明、なんらかの事情があるからこそ
そうなってしまったのだと思います。
連絡を取ること自体、勇気がいることでしょう。
できるなら、身内に行方不明者を出したくないですよね。

でも、そうなってしまったら・・・
遺言書を残しておくことが必要だったと思います。

今日は、相続人のなかに行方不明者がいた場合の対応方法でした。


この記事を書いた人

古川才智英

「相続のこと誰に相談したらいいかわからない」「何から始めたらいいのかわからない」という相続の準備や手続きがわからなくて悩んでいる人のために、自分自身が相続を体験し、大変な思いをしてきたことや学んできたことを活かして、今、相続を考えいる方や悩んでいる方のお力になり問題の解決が出来れば思い、この仕事を始めました。