軽い認知症なら遺言書は有効ですか?

認知症の程度をどうはかるの?

私は認知症の母を約20年見てきましたが、
調子の良い日は、話も辻褄が合うし普通です。
でも、調子の悪い日は、会話が噛み合わない。
認知症って、日によって変わるんですよね。

認知症とは、認知機能が低下することによって、
日常生活に支障をきたしてしまう脳の病気です。

認知症が進行してくると契約や売買などの契約行為
法律行為をすることが出来なくなることがあります。

そのため、認知症を発症した方が遺言書を書いていた場合に
その遺言で条件が不利になる人がいる場合、「その遺言書は
有効なのか」を問われて、争いになることも多々あります。

では、その人が遺言能力があるかどうかを
どうやって判断するのでしょうか。

遺言能力の判定 長谷川式認知スケール

認知症なのかを調べる、確かめる手段の一つとして
行われるのが「長谷川式認知スケール」です。

これは、本人に自分の年齢とか、今日は何月何日なのかとか、
3つの絵を見せておいて、違う質問をしてからまた先ほどの絵は
何でしたか?と聞いたりして、いくつかの質問していきます。
その回答に点数をつけて、認知機能の低下を計っていきます。

この点数は、裁判所で遺言能力の有無の認定に用いられますので
遺言能力があったかどうかの有力な資料となることもあります。

でも、この点数だけで判断されるわけではなくて
同様の認知機能検査としてMMSE、DASCなどの検査も併せて
本人の状態、遺言の内容によって、総合的に判断されます。

何点あれば大丈夫ですか?

この長谷川式認知スケールは、満点が30点。
何点以上あれば大丈夫?何点以下だとダメなの?

20点以上であれば遺言能力が認められる可能性は高いです。
でも絶対大丈夫と言うことはありませんので注意が必要です。

15点から20点は、遺言能力が認められる傾向にあります。
遺言内容の難易度や、長谷川式認知スケール以外の検査の結果や
医師の所見次第では無効となるケースもありえますので注意が必要です。

11点から14点は、遺言能力が認められない傾向にあります。
14点と認定された自筆証書遺言が無効とされた判例がありますので
ここからは認めれることは難しくなってきます。

10点以下については遺言能力は認められない。
遺言能力が認められない可能性は高いと考えた方がいいです。
過去の裁判例でも、公正証書遺言でされた遺言で
あっても意思能力を否定した例がありました。

元気なうちに、遺言書を書いておく

認知症になりたい人なんて、いないと思います。
でも、70歳代で10%80歳代の人で20%、
90歳以上では65%の方が認知症を発症しています。

年齢とともに認知症リスクは上がっていくことを
しっかりと受け止めて、元気なうちに認知症対策を
とっておくことが大事です。

「今すぐ始めよう、相続対策
     まさかは、突然やってくる!」




この記事を書いた人

古川才智英

「相続のこと誰に相談したらいいかわからない」「何から始めたらいいのかわからない」という相続の準備や手続きがわからなくて悩んでいる人のために、自分自身が相続を体験し、大変な思いをしてきたことや学んできたことを活かして、今、相続を考えいる方や悩んでいる方のお力になり問題の解決が出来れば思い、この仕事を始めました。